災害時のだっこやおんぶ!抱っこ紐がなくても子連れ避難できる身近なものを代用
徳島県でママ防災士としても活動しています。ベビーウェアリングアドバイザーの中川智子と申します。
1月1日に起きた能登半島地震でも、多くの尊い命が犠牲になり、つい最近まで断水が続く地域があるなど、大きな被害が出ました。その後も日本各地で地震が頻発しており、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。私の住んでいる四国徳島県でも、南海トラフ大地震が想定されており、様々な対策が進められています。
乳幼児のいる世帯や妊産婦は、高齢者と同じく「避難行動要支援者」として「災害弱者」となります。防災の基本は「自助(まずは自分自身の安全を守ること)」です。自分たち親子の命を守るためにも、乳幼児連れの避難について知り、備えておきましょう。
1. 防災士の資格を取ったきっかけ
私が防災士の資格を取ったきっかけは、7年前、長女の里帰り出産中に見た、3.11 東日本大震災のドキュメント番組でした。高台によじ登って津波から逃れ、一命を取り留めた生存者の方のお話。
すぐ後ろに、赤ちゃんを抱いた若いお母さんがいたそうです。きっと、着のみ着のまま逃げてきたのでしょう。抱っこひもはつけておらず、素手で赤ちゃんを抱いていたそうです。すぐ後ろには黒い津波が迫り、そのお母さんも必死でよじ登ろうとしていたけれど、赤ちゃんを抱いたまま片手では登りきれず、でも、決して赤ちゃんを離そうとはせず。そのまま津波にのまれて流されていってしまった。助けることができなかった、と。そのお母さんの胸中を想うと、生まれたての長女を抱いたまま、涙が止まりませんでした。
もし、その親子に抱っこひもがあれば、両手が使えていたら、助かったかもしれない二つの命。その後、抱っことおんぶを学び、アドバイザーとして伝える立場になった時、防災の視点から命を守るためのベビーウェアリングも伝えていきたいと、強く思ったのでした。
2. 乳幼児を連れた避難のポイント
基本はおんぶ・抱っこでの避難
普段は歩ける年齢のお子さんでも、おんぶや抱っこで避難した方が安全です。災害時は瓦礫や浸水など、避難経路が不安定な足場で歩きにくくなります。エレベーターも停まるため、ベビーカーも使えません。階段の昇り降りが必要な場合も、おんぶや抱っこの方がスムーズです。
また、普段は歩ける子でも、いつもと違う状況での恐怖心から、動けなくなってしまうこともあります。不安な時ほど、おんぶや抱っこで「大丈夫だよ」とまず安心を伝えてあげたいですね。
大人が両手を使える大切さ
素手のおんぶや抱っこでは、大人の両手が塞がってしまいます。もしもの時、とっさに両手を使えるようにしておくことは、親子の命を守る上でとても重要なことです。抱っこひもを使う時も、必要な時は手を離しても心配ないくらい、安定した使い方を目指しましょう。
最善は「抱っこひもを使う」こと
→抱っこ紐は防災グッズの必需品
安全にお子さんをおんぶ・抱っこして避難するには、耐荷重の面からも、その用途を前提として作られている「抱っこひも」を使うのがベストです。一般的な抱っこひものモデルでは、丸めても嵩張るものが多いですが、最近では、ポーチサイズに収納できるコンパクトタイプが、様々なメーカーから発売されています。また、布タイプのベビーラップやリングスリング、さらしなども小さく畳めるので、持ち運びにも便利です。いざという時に抱っこひもを使えるよう、家庭用の非常持ち出しリュックや、お出かけに使う車などに備えておくと安心です。
3. 避難にはおんぶがおすすめ
おんぶのメリット
安全な避難には、できればおんぶの方がおすすめです。お子さんが背中にいてくれた方が、前方や足元の視界が広がり安全確認がしやすくなります。また、倒れているものを避けるなどの作業もしやすかったり、もう1人のお子さんと手を繋いだり抱きかかえることも可能です。抱っこより大人も動きやすいため、いざという時は走って避難できるくらい機動力も上がります。
おんぶのデメリット
その反面、背中では大人の目が行き届かなくなるため、頭上や後方からの衝撃を受ける心配があります。自転車用ヘルメットや帽子など、衝撃から少しでも頭を守るアイテムを着用しましょう。お互いの頬が触れるくらいの「高いおんぶ」ができれば、振り返れば肩越しにお子さんの様子を確認することもできます。
抱っこでの避難がおすすめの場合
使う抱っこひもによって、おんぶができる月齢は異なります。まだおんぶ可能な時期に満たない赤ちゃんや、おんぶに慣れていないお子さんは、抱っこで避難する方が安心です。
自分たち親子に合う方法を選ぶようにしましょう。
4. 災害時に役立つ身近なものを代用した緊急おんぶ・抱っこ
抱っこひもを使うことがベストとお伝えしてきましたが、抱っこひもが手元にない場合はどうしたらいいのでしょうか?
災害時、外出先で抱っこ紐を自宅に忘れてきた場合や、既に抱っこひもを卒業した大きなお子さんのいる場合などが、これに該当します。
そんな時は、抱っこひもの代わりに身近なアイテムを代用することで、両手を塞がずにおんぶや抱っこができます。
上着&ベルト(おんぶ・抱っこ)
【手順】
- 赤ちゃんを背中に乗せて、その上からコートやパーカーを羽織ります。
- 上着の前のボタンやファスナーを首元まで締め、ベルトで赤ちゃんの膝裏を支えます。
ベルトの代わりに、マフラーやロープなど、紐状のものでも代用できます。上着は少しゆったりめの方が、赤ちゃんを中に抱き入れやすいので、ワンサイズ大きいパパの上着をママが借りるのもいいでしょう。必ず、伸縮性のない素材の上着を使用します。ボタンやファスナーの耐久性に注意し、赤ちゃんのおしりは常に支えるようにしましょう。1歳くらいまでの赤ちゃんにおすすめの方法です。上着の前に抱き入れる、抱っこバージョンも可能です。
リュックサック(おんぶ)
【手順】
- お子さんの足を、肩ベルト下側接続部の外側に出す。
- お子さんの腕を、肩ベルト上側接続部の上に出す。
- リュックサックごと背負い、密着するまで肩ベルトを引き締める。
リュックサックの耐久性に注意が必要です。できれば登山用など、しっかりした作りのものが好ましいです。チェストベルト付きだと安定感が増します。1歳半くらいから小学生まで、大きめのお子さんにおすすめの方法です。
ストール(スリング風抱っこ)
【手順】
- ストールを輪っか状にして固結びし、片方の肩にたすき掛けにする。
- 身体前方の布に赤ちゃんを抱き入れる。
- 肩の布を外側に裏返して、赤ちゃんの首元の密着度を上げる。
空いた手で必ず赤ちゃんを支えましょう。たすき掛けにした時、ストールの最下部が自分のおへそくらいの位置だと、抱っこが安定しやすいです。結ぶ位置は、お子さんの大きさによって調整します。
緊急おんぶ・抱っこの注意点
抱っこひもの代わりに身近なものを使用する方法です。おんぶや抱っこを前提として作られたものではないため、破損、落下のリスクは常に伴います。あくまでも「緊急時のみ」安全に十分注意し、自己責任の範囲で使用してください。
※上記3種類の緊急おんぶ・抱っこでは、赤ちゃん人形の身体の様子、支えるべき箇所を見えやすくするため、わざと手を添えずに撮影しています。落下のリスクに備えて、できるだけ大人の手で赤ちゃんの身体を支えるようにしてください。
5. 避難後の生活でも役立つ
抱っこでの心身のケア
災害時、先の見えない不安の中だからこそ、ただ抱きしめてもらうだけで、お子さんは安心できるものです。温かい抱っこで包んで、安心させてあげたいですね。ふれ合いは子どもだけでなく、大人もホッとできる、悲しみを癒す時間になります。
避難先などで抱っこの時間が長くなってしまうと、大人の身体にも負担が大きくなってきます。そんな時は素手の抱っこよりも、補助具としての何らかの抱っこアイテムがあった方が、大人の負担も軽減できます。
防犯対策としておんぶで一緒に行動
防犯の面からも、避難所ではお子さんから目を離さないようにしましょう。被災後の自宅の片付けや、食料や水の配布列に並ぶなど、子連れでもやることはたくさんあります。そんな時は、身体の前が空いて両手が使えるおんぶの方が、作業がしやすく活躍します。また、上のお子さんのトイレ介助、着替えなど、特に防犯を意識したい場面でも、下の子をおんぶしたままだとスムーズに行うことができます。
6. 普段からのおんぶ・抱っこの見直しが「命を守る」
密着して安全な快適抱っこ
普段の赤ちゃんの生活の中から「ベビーウェアリング」を意識した抱っこやおんぶをすることは、赤ちゃんの心身の発育を促すたくさんのメリットがあります。
親子共に快適な抱っこをするには、たくさんのポイントがありますが、災害時の避難で特に重要視したいのは「安全面」です。抱っこひもを低い位置で緩く装着することによる、赤ちゃんの転落事故を防ぐためにも「おでこにキスができるくらい密着した抱っこ」をしましょう。日頃から意識できていれば、災害時の不安定な足場でも安定した抱っこで、より安全に避難することができます。
フェーズフリーな「おんぶ育児」 の魅力
おんぶで避難しようとしても、普段から親子でおんぶに慣れていないと、とっさの時にはできないものです。ひと昔前は、家族や地域のコミュニティーの中で、子育ての知恵としておんぶを教わることが多かったそうです。しかし、最近は核家族化が進んだこともあり、昔から日本に伝わってきたおんぶ育児が、伝承されなくなったように感じます。背負い方が分からない、落としそうで不安など、おんぶをしたことのない養育者が増えています。
しかし、おんぶができれば、赤ちゃんと一緒に家事などができるので、ハイハイ時期以降の後追い対策にも、とても役立ちます。猫の手も借りたい子ども2人のワンオペ育児でも、心強い育児の相棒になってくれるはずです。
さらに、高い位置のおんぶでは、肩越しに大人と同じ景色や経験を赤ちゃんと共有することができます。お母さんの背中の温もりの中で、五感を刺激する経験を積み、コミュニケーションの土台をいつの間にか学んでいるのです。台所での食事作り、お散歩、お母さんの趣味など、おんぶは赤ちゃんの興味をくすぐり、世界を広げてくれるものなのです。
おんぶの方が大人と子どもの重心が近くなるので、大人の身体が楽だということも、大きな魅力のひとつではないでしょうか。
普段からおんぶに慣れていれば、災害時の素早い避難にも役立ちます。「非常時に必要な備えを日常にしておく」防災に役立つフェーズフリーの考え方は、おんぶ育児そのものです。ぜひ取り入れてみてくださいね。
7. ベビーラップの災害時の応用方法
ベビーラップは一枚布でできているため、抱っこひもとしての用途以外にも様々な活用の仕方が考えられます。
防寒対策
床に敷く、ブランケット代わりの掛け物として、長さのある布なので複数人でも一緒に使うことができます。
防犯対策
着替えの時の目隠しに、空間の仕切りや、身体を隠すのにも活用できます。簡易トイレ使用の際は、巻きスカートのように使うのもいいでしょう。避難所で段ボールの仕切りだけではプライバシーが不安な場合は、屋根のように被せてプライベートな空間を作るのにも役立ちます。
長さを生かした活用法
濁流に飲まれるなど、親子で離れ離れになる心配がある状況下では、親子の身体同士を結んで繋ぎ留めておくのにも使えそうです。建物の上の階から地上にそのまま避難の必要がある時は、ロープのように垂らしてハシゴの代わりにする使い方も想定できます。
一枚布で赤ちゃんを包み込むように抱っこするベビーラップ。どんな親子の身体にもフィットして、両肩や上半身全体への体重分散性が非常に高く、新生児から3歳以上も 長くご利用できます。抱っこやおんぶはもちろん、腰抱きもできるので、赤ちゃんの成長や使用するシーンに合わせて自在に使えます。
8. ベビーラップは、親子の生き抜く力を育む
私自身も、今は7歳と5歳になる娘たちと、ベビーラップでずっと抱っこやおんぶをして過ごしてきました。布一枚で何通りのも使い方ができる汎用性、新しい巻き方ができた時の達成感、布で互いに包まれる心地良さや布選びの楽しさに、あっという間に虜になりました。そして何より、他のどの抱っこひもよりも身体の負担が少ないこと、大きくなった上の子でも抱っこしてあげられることに、何度も育児を救われ、自信ももらいました。
昨年4月、小学校1年生、幼稚園年少という、姉妹揃っての新しい環境での生活に、かなりナイーブになっていた娘たち。家事で忙しい帰宅後も常にくっつき虫でしたが、大きな子でも抱っこやおんぶが軽々できるベビーラップのおかげで一緒に過ごし、大荒れの予感だった4月も乗り切ることができました。
長女は20kgを超えだいぶ重くなりましたが、背負っても走れるこの安定感なら避難にも十分使えると、スキンシップも兼ねながら、密かに避難訓練を想定するような有意義な時間だったと、今では思います。
私以外にも、一枚布のベビーラップでの抱っこやおんぶで過ごしてきた親子は、身体感覚がよく育っているため、もしもの時の応用力も高いと感じます。しがみついてくれる子どもの力と、道具を使いこなす母親の勘があれば、さらし、ベッドシーツやカーテンのような布でも、緊急時の抱っこおんぶにきっと応用できるでしょう。
その証拠に、上記でご紹介した「ストールを使ったスリング風抱っこ」は、まさにショートラップのシンプルヒップキャリーそのものなのです。
親子共に快適な抱っこやおんぶが叶い、災害時に生き抜くための力も身につけられる。ベビーラップの可能性の素晴らしさを改めて実感しました。
終わりに
災害時は災害弱者となる、私たち子育て世帯。災害大国である日本で暮らす上で、家族の命を守るためにも、各家庭での防災力アップは大きな課題です。
とはいえ、日々の子育てに追われ、備蓄など何から手をつけていいのか悩まれているご家庭も多いのではないでしょうか。まずは手軽にできる、毎日の抱っこやおんぶを見直すことから始めてみませんか?防災を特別なものではなく、身近なものに感じてもらうきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
9. 防災士のプロファイル
中川智子(なかがわ ともこ)
娘との抱っこの辛さと抱っこ紐選びに悩んだ経験から、ベビーラップに出会い、抱っこひもの奥深さに興味をもつ。ディディモスの養成講座受講後、認定アドバイザーとして活動する。
2021年 親子の絆を育む抱っことおんぶの教室「抱っこの木」を開設。同年、防災士資格を習得。ベビーウェアリングアドバイザーとしての、抱っこひも講座。ママ防災士としての、子連れ防災講座。両分野での教室開催、行政主催のセミナー講師も務める。防災×抱っこひも、二足の草鞋で活動を広げる。元特別支援学校教員。二児の母。徳島県徳島市在住。
受講を希望される場合、専門職向け研修、徳島県内各地でのグループ講座、出張講座、オンライン講座など各種対応しております。「抱っこの木」(HP)よりお問い合わせ下さい。
防災研修開催
2024年2月25日、徳島市主催の防災士向け研修「災害時に身近なものでできる 緊急おんぶ・抱っこ」の講師として、講演させていただいた様子を各メディアに掲載いただきました。
NHK ウェブニュース(動画)
「抱っこひもが無くても」乳幼児連れの安全避難を学ぶ 徳島市
朝日新聞デジタル
災害時のおんぶや抱っこ 抱っこひもなくても、身近なもので安全に
体験談:大震災で役立った一枚布の抱っこ紐
2016年4月14日夜と16日深夜に熊本を2度続けて襲った最大震度7の地震。その渦中にあって、子どもを二人連れて避難し車中泊を続けたときのベビーラップ活用法を高木園子さんが語ってくれます。
避難時に一番役立ったもの
今回の地震で我が家が避難し車中泊を続けている間、自宅から持ち出したもので一番役に立ったのはDIDYMOSのベビーラップでした。
ベビーラップとは幅70cm長さ4m程の一枚布からなる抱っこおんぶ兼用紐のことです。通常0~3歳程度の赤ちゃんを抱っこしたりおんぶしたりする時に活用しますが、我が家に赤子はいません。5歳になる次女が赤ちゃんの時に使用していたものです。でも、経験のない前震での揺れにおびえて動けなくなった次女を素早くおぶって5階から階段で避難できたのは、ベビーラップがあったからでした。
ベビーラップのここがすごい!
1. 身体に負担が少ない
紐でくくりつけるわけではなく、幅広の布の面の摩擦力で子どもを固定するので背負う人の負担が少ない
2. 重心が安定する
自分の重心と子供の重心がピッタリと密着して安定するので重さを感じにくく動きやすい
3. 汎用性がある 子どもが眠るとブランケットになり、二つ折りに畳んで肩に羽織るとウールのニットより温かく、小さく畳むとクッションに。車中泊時はクリップでとめて人の目を避けるためのカーテンの役目をし、ストレスで無口になっていた長女のプライベート空間を確保する役目も果たしました。
4. 耐久性がある
縫い目継ぎ目がないので大変丈夫で背負う重さ制限がありません。なので、新生児の縦抱き抱っこも安全に安定してできるし
今回の我が家のように、5歳児を背負って逃げることも可能なのです。
汎用性のある一枚布をいろいろ工夫して利用することで子どもをおぶったり、荷物を背負ったり、衣としたり・・・それは戦前から戦後すぐまでの日本で当たり前に伝承されてきた生活の知恵でした。でも、便利な道具がいつでもどこでも買えるようになった現代の日本ではそれが途絶えてしまったように思います。
被災時の持ち物を極端に制限される生活で試されるのは、いかに工夫して乗り切るかという意志と知恵でした。震災前、たまにおんぶをせがむことはあってもさすがに5歳になった次女は重たく、ベビーラップを使う機会は減っていましたが
それでも、発災時すぐにベビーラップを手にとることができたのは、東日本大震災当時、何度も流れる映像を通して、「もし災害に襲われたら逃げるために優先することは何だろう」と無意識に何度も頭の中でシュミレーションしていたからだと思います。
一番大切なのは、子どもとはぐれないこと、素早く逃げること。そのために必要なものとして常備していたのがベビーラップです。普段はブランケットとして愛用していましたが、本当に役に立ちました。
避難中忘れられない光景があります。
水汲みの列に並んでいる時、前に並んでいた若いお母さんが背中に赤ちゃんをおんぶして、小さいお兄ちゃんの手を引きながらポリタンクを持って帰る姿です。赤ちゃんの手足がダランと伸びて低い位置で背中にくくりつけられている状態のおんぶ紐を使われていて、お母さんの肩にも腰にも大きく負担に見えました。そのお母さんが振りかえった時の疲れ切ったお顔が忘れられません。
災害時に密着して親子で癒す
非常時では抱っこやおんぶは赤ちゃんの身を守るための手段ですが、それだけではない側面も大きいのです。震災以降次女は「おんぶして。おんぶ紐でおんぶして」とよくせがむようになりました。「高いところで、お母さんの背中で、安心するから」だそうです。安定した抱っこは子供の心を安心させるし、肌と肌の触れ合いはお母さんの心を癒します。それには親子ともども体への負担が少ない抱き方であることが大前提です。
赤ちゃんのいるご家庭の防災にお役立ていただくことを願っています。
高木園子(熊本県)